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ざっと把握する、AWSデータ分析関連サービス | AWS re:Invent 2024 現地レポート

AWSのさまざまなデータ分析関連サービスが紹介されたセッション「Understand your customers better with a modern data strategy」のレポートをお届けします。 データの保存、アクセス、変換、分析、予測を行うためのAWSサービスを紹介し、情報に基づいた意思決定や迅速な対応、新たな機会の発見を可能にする方法が紹介されました。


データレイクとデータウェアハウス

データレイクとその特性

データレイクとは、大量のデータを保存しておくためのストレージシステムです。AWSにおいては、主にAmazon S3を中心に構築されます

データレイクは、構造化データ、半構造化データ、非構造化データといった、様々なデータ形式をそのままの形で保存できるため、データの柔軟性が高いという特徴があります。企業は、異なるデータソースからのデータを一元的に管理でき、後から分析するための準備ができます。これにより、ビジネスニーズに応じたデータの活用が可能になります。

データウェアハウスとその定義と特性

一方、データウェアハウスは特定のビジネスニーズに応じてデータを整形、統合し、構造化された形式で保存します。AWSでは、Amazon Redshiftを使用し構築することができます。

データウェアハウスは、事前に定義されたスキーマに基づいてデータを整理し、迅速なクエリ応答を提供します。これにより、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールと連携しやすく、意思決定をサポートするための重要な役割を果たします。データウェアハウスは、通常、データの整合性を保つためのプロセスが組み込まれており、高度な分析を行うための基盤を提供します。

AWSのデータベースサービス

AWSは、リレーショナルデータベースサービス(RDS)、NoSQLデータベースのDynamoDB、データウェアハウスのRedshiftなど、さまざまなデータベースモデルに対応するサービスを提供しています。これにより、企業は自身のニーズに最適なデータベースソリューションを選択し、効果的にデータを管理することができます。

Amazon RDS

Amazon RDSは、リレーショナルデータベースを簡単にセットアップ、運用、スケーリングできるサービスです。自動バックアップ、パッチ適用、モニタリング機能が充実しており、運用コストを削減することが可能です。また、RDSは複数のデータベースエンジン(MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなど)をサポートしており、企業は自分たちの既存のシステムや、エンジニアの技術に合わせた選択ができます。

Amazon DynamoDB

DynamoDBは、スケーラブルなNoSQLデータベースであり、高速なパフォーマンスを提供します。特に、トラフィックが急増するアプリケーションにおいて、その効果を発揮します。DynamoDBは、マネージド型のサービスであり、スケーラビリティと可用性が高く、開発者はインフラの管理から解放され、アプリケーションの開発に集中できます。

Amazon Redshift

Redshiftは、ペタバイト規模のデータを迅速に分析できるデータウェアハウスサービスです。クエリの最適化やデータ圧縮技術を駆使し、コスト効率良くデータ分析を行うことができます。edshiftは、データをカラム指向で保存するため、特に分析クエリに対して高速な応答を提供します。さらに、他のAWSサービス(S3やAWS Glueなど)との統合がスムーズで、データの移動や処理が容易になります。

サーバーレス技術の活用

AWSの多くのサービスはサーバーレスで提供されており、インフラ管理の手間を大幅に削減できます。これにより、開発者はアプリケーションの構築に集中できるようになります。サーバーレスアーキテクチャを利用することで、スケーラビリティや柔軟性が向上し、ビジネスの変化に迅速に対応できるようになります。

サーバーレスの利点

サーバーレス技術の最大の利点は、リソースのスケーリングが自動で行われるため、トラフィックの変動に応じて必要なリソースを自動的に調整できる点です。これにより、企業はコストを最適化しつつ、パフォーマンスを維持することができます。また、開発者はインフラの管理から解放され、アプリケーションの機能開発に専念できるため、開発スピードが向上します。

サーバーレスについては、下記の記事も参考にしてみてください。

  クラウドの醍醐味!サーバーレスアーキテクチャ サーバーレスは「サーバを意識する必要がない」ことを意味し、インフラの設計構築・運用に係る大部分がクラウドサービス側で提供されているマネージドサービスです。利用者は、サーバに関する様々な心配から解放され、開発に集中することができて、リソース最適化ができるだけでなく、DevOps型組織を開始する一歩にもなります。今回は、サーバレスの特徴やそれによってもたらす変化を見ていきたいと思います。 Kyrios Webサイト



機械学習の活用

さらに深いデータ活用のために、機械学習(ML)を活用することで、より高度な分析を実施し、予測モデルを構築することができます。 AWS SageMakerを使用することで、データのクレンジング、モデルのトレーニング、デプロイが行えます。

AWS SageMakerの機能

AWS SageMakerは、機械学習モデルの構築を迅速に行えるプラットフォームです。データの前処理からモデルの評価、デプロイまでの一連のプロセスを簡素化し、開発者が迅速に実験を行える環境を提供します。また、AWS SageMakerには、事前にトレーニングされたモデルやアルゴリズムが多数用意されており、これを活用することで、モデルの構築をさらに効率化できます。

今回のAWS re:Invent 2024においては、「Amazon SageMaker Unified Studio」が発表され、AIと機械学習の統合による今後のデータ分析はさらに手軽に、スピーディに行うことができると期待できます。

Amazon SageMaker Unified Studioによるデータ分析とAIの融合の未来 | AWS re:Invent 2024 現地レポート

機械学習のビジネスへの応用

機械学習を活用することで、顧客の行動予測や需要予測、異常検知など、さまざまなビジネス課題に対処できます。たとえば、小売業では、顧客の購買履歴を分析して、次に購入する可能性の高い商品を予測することで、パーソナライズされたマーケティング施策を実施することができます。

データの移動とサービスの統合

ここからは、本セッションの中では紹介されていなかった内容ですが、AWSのデータ関連のサービスとして、AWS GlueとAmazon Kinesisにも触れておきたいと思います。これらを組み合わせることにより、データの統合やリアルタイム処理が容易になり、分析の精度を向上させることができます。

AWS Glueの活用

AWS Glueは、データのETLプロセスを自動化するサービスです。ETLとは、データの抽出 [Extract]・変換[Transform]・書き出し[Load] を表し、データを統合するフローで、異なるデータソースからデータを収集し、分析や報告のために整形してデータウェアハウスや他のストレージシステムに格納するために使用されます。

AWS Glueを利用することで、データの準備や変換を簡単に行うことができ、分析のためのデータセットを迅速に作成できます。Glueは、データカタログを提供し、データのメタデータを管理することで、データの可視性を向上させます。

Amazon Kinesisの活用

Amazon Kinesisは、リアルタイムデータストリーミングサービスであり、リアルタイムのデータ分析を可能にします。これにより、企業は即座にデータに基づいた意思決定を行うことができ、競争優位性を確保します。Kinesisを使用することで、ストリーミングデータをリアルタイムで処理し、ダッシュボードやアラートシステムに反映させることができます。

データ分析のユースケース

具体的なユースケースとして、Webサイトの訪問者行動分析や小売業における顧客購買行動分析が紹介されました。商品やサービスそのものの価値を向上するだけではなく、いかにデータを活用し、 ユーザーに訴求できるかという点が、最大の差別化ポイントとなりつつあることは言うまでもありません。

Webサイトの訪問者行動分析

まず紹介されたのは、Webサイトの訪問者行動を分析する事例です。どのページが最も訪問されているか、どのコンテンツがユーザーの関心を引いているかを把握できます。これにより、コンテンツの最適化やユーザーエクスペリエンスの向上が図れます。具体的には、A/Bテストを実施して、異なるデザインやコンテンツを比較し、最も効果的なバージョンを選定することができます。

小売業の顧客購買行動分析

小売業では、顧客の購買行動を分析することで、どの商品がよく売れているか、どのタイミングで購入が増加するかを理解できます。これにより、在庫管理やプロモーション戦略の改善が可能になります。例えば、特定の季節に人気の商品を把握し、事前に在庫を確保することで、売上の機会を逃さない戦略を立てることができます。

おわりに

このセッションでは、データ分析に関して、今主流になっている一般的な枠組みを再確認できるとともに、それに対応するAWSのサービスを捉えることができました。また、AWSのサービスを組み合わせることで、データ活用を行うためのハードルは下がり、企業は手軽にデータ分析を始めることができると改めて実感しました。データ分析と一言に表しても、さまざまな段階があるため、まだ始めていないという企業も、徐々にさまざまなサービスを組み合わせて分析範囲を広げる、分析を深めることができるので、少しずつでもまずは始めてみることが大切なのかもしれません。

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