新人企画!AWS DeepRacerで体験する機械学習 | 社内勉強会実施レポート
こんにちは。新入社員の華尾です。
生成AIが注目を集める中、その基盤となる機械学習への理解も重要になっています。そうした背景から、新入社員の取り組みとして「AWS DeepRacer」を使った機械学習の勉強会を開催しました。
参加者の多くはAWS DeepRacerに初めて触れるメンバーでしたが、実際に手を動かし、レース形式で進めることで、機械学習を楽しみながら体験的に学んでもらうことを意識しました。
本記事では、参加者からの声や気づきに加え、準備段階から当日までの様子を、新入社員の視点でレポートをお届けします。
目次[非表示]
- 1.勉強会開催の経緯
- 2.AWS DeepRacerの概要
- 2.1.報酬関数とは
- 2.2.ハイパーパラメータとは
- 3.勉強会の内容
- 4.勉強会とレース会の様子
- 5.参加者アンケートから見えた反響と気付き
- 6.まとめと今後の意気込み
- 6.1.関連記事
勉強会開催の経緯
私は普段テクニカルサポートエンジニアとして、技術面でのサポートを行う仕事をしています。AWSに直接関わる機会は多くありませんが、AWSに非常に強い関心があり、AWS Jr. Championsへの選出を目指し、日々AWSに触れながら技術習得に取り組んでいます。
AWS Jr.Championsとは?
今回、同じくAWS Jr. Championsへの選出を目指して活動している新入社員4名ほどで、「楽しみながら機械学習やAWSを学べる勉強会」をテーマに、社内向けのAWS DeepRacer勉強会を企画・開催しました。
ご存知の方も多いかと思いますが、近年は生成AIが急速に進化し、業務内外での活用が求められる場面も増えています。そうした中で、生成AIをより効果的に活用していくためには、その基盤となっている機械学習の理解がこれまで以上に重要だと感じるようになりました。一方で、機械学習については「仕組みがよく分からないまま使っている」という方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、機械学習の仕組みを楽しみながら学べる題材としてAWS DeepRacerに着目しました。AWS DeepRacerは、強化学習の考え方を実際に体験しながら学べるサービスであり、座学だけでなく手を動かしながら理解を深められる点が魅力だと考え、本勉強会の開催に至りました。
生成AIに限らず、技術の仕組みを理解したうえで触れることで、より安心して活用できるようになるのではないかと感じ、本勉強会を実施しました。
AWS DeepRacerの概要
AWS DeepRacerは、前方にカメラを搭載したラジコンサイズのマシンを使用し、機械学習によって自律走行させ、その走行タイムを競うAWSの学習・競技サービスです。オンラインのシミュレーター上での学習から、実機を用いた走行までを一貫して体験できる点が特徴となっています。

シミュレーター上には複数のコースが用意されており、コース形状や難易度の違いに応じて学習内容を工夫する必要があります。また、AWSが主催する大会やイベントでは、実際のマシンと専用コースを用いたレースが開催されており、学習したモデルの成果をリアルな環境で試すこともできます。
AWS DeepRacerでは、報酬関数やハイパーパラメータを設定し、マシンを繰り返し走行・学習させることで、より速く、より正確にコースを走行できるモデルを作成します。
報酬関数では、「どのような走り方が良い行動なのか」「どの行動を取ったときに評価されるのか」を明示的に定義するため、機械学習モデルが何を基準に判断・学習しているのかを意識しながら設計することになります。
ハイパーパラメータを変更することで、学習の進み方や安定性、結果の精度が大きく変化します。学習回数を増やしても思うように速くならなかったり、逆に学習しすぎてコースアウトしやすくなったりと、設定の違いが挙動として分かりやすく現れます。
このように、報酬関数やパラメータを調整し、その結果として走行性能がどのように変化するかを繰り返し確認することで、「機械学習がどのように試行錯誤を通じて最適な行動を学んでいくのか」「人が与える設計や前提が学習結果にどのような影響を与えるのか」といった、機械学習の仕組みを体感的に理解できるようになっています。
また、学習自体は仮想環境上で行うことができ、完成したモデルを実機に反映させて、実際のコースを走行させることも可能です。画面上で確認していた学習結果が、そのまま実際の動きとして現れるため、学習の成果を直感的に確認できる点も魅力の一つです。
※AWS DeepRacerは2025年12月15日をもって、コンソールへのアクセスが終了しています。
報酬関数とは
「報酬関数」は、エージェントが「何を目指して走るか」「どのような行動が推奨/回避されるのか」を具体的な数値で定義するものです。これは強化学習モデルの根本的な特性に直接影響します。
報酬関数
報酬関数とは、実行されたアクションが、以下のいずれのパフォーマンスの結果になったかをエージェントに伝える学習モデル内のアルゴリズムです。
強化する必要のある良い結果。 中立的な結果です。 推奨されない悪い結果。報酬関数は強化学習の重要な部分です。特定のアクションに対してインセンティブを与えることで、エージェントが学習する挙動を決定します。ユーザーは Python を使用して報酬関数を提供します。この報酬関数は、最適化アルゴリズムによって強化学習モデルをトレーニングするために使用されます。AWS DeepRacer の概念と用語 より引用
ハイパーパラメータとは
ハイパーパラメータは、学習の効率、モデルの安定性・汎用性を支える学習アルゴリズムの設定値群です。
ハイパーパラメータハイパーパラメータは、ニューラルネットワークの学習性能を制御するアルゴリズム依存の変数です。ハイパーパラメータの例としては、各ステップでの学習において、新しい経験をどれだけカウントするかを制御する学習レートがあります。学習レートが大きくなるほど学習速度は速くなりますが、トレーニング済みモデルの品質が低くなる可能性があります。ハイパーパラメータは経験的なものであり、トレーニングごとに体系的な調整が必要です。AWS DeepRacer の概念と用語 より引用
勉強会の内容
初めに、機械学習について基礎的な内容を解説しつつ、AWS DeepRacerの使い方を紹介する勉強会を行いました。
「機械学習とは何か」のパートでは、例え話を多く取り入れることで、初めて触れる方でもイメージしやすく、理解しやすくなるよう意識しました。

その後、参加者には各自の空き時間を活用してモデルのトレーニングに取り組んでもらい、約1週間後に「DeepRacerカップ」と称したレース会を実施しました。
レースで使用するコースは当日まで非公開とし、事前に特定のコースに最適化するのではなく、どのようなコース形状でも安定して走行できるモデルを目指してもらう構成としました。そのため、参加者には直線やカーブの多いコースなど、複数のコースを使ってトレーニングを行い、モデルの汎用性を意識した学習に取り組んでもらいました。
また、学習時間には上限(15時間)を設け、限られたリソースの中でどのように学習を進めるかも重要な要素としました。学習時間を一気に使うのか、途中で結果を確認しながら調整するのかなど、報酬関数やハイパーパラメータの変更タイミングも含めて戦略を考えてもらうことで、機械学習における試行錯誤や意思決定の重要性を体験できるようにしています。
当日のレース会では、同じ条件下でモデルを走行させることで、各参加者の考え方や戦略の違いが結果として現れ、機械学習の設計や学習プロセスが成果に直結することを実感できる機会となりました。
勉強会とレース会の様子
1週間後に実施したレース会当日の様子です。


当日は、参加者に楽しんでいただけるよう、軽食や飲み物を用意して開催しました。誰が優勝するのかを予想し合いながら観戦するなど、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていました。
レース会で上映した走行動画のキャプチャです。

本来であれば、AWS DeepRacerには「Community Race」と呼ばれる、複数の参加者が同一条件・同一コースでモデルを走行させ、タイムを競い合う公式のレース機能があります。これを利用することで、リアルタイムに近い形で結果を比較し、順位付けを行うことが可能です。
しかし、2025年12月8日以降はこのCommunity Raceを開催できなくなっていたため、今回は別の方法でレース会を実施しました。具体的には、各参加者のモデル走行を事前に収録した動画を用意し、それらを編集・合成することで、あたかもレースゲームのように同時に競っているかのような演出を行いました。
公式機能は利用できなかったものの、走行結果を視覚的に比較できる形にすることで、実際のレースのような臨場感が生まれ、会場は大いに盛り上がりました!
参加者アンケートから見えた反響と気付き
勉強会終了後、参加者の皆さんにアンケートを実施しました。
ご協力いただいた方からは全て「満足」との回答をいただきました。
「ランキング形式で勝敗を競う形のイベントだったのが、学習意欲を掻き立てられて良いと思った。」「動画や演出に工夫を凝らしており盛り上がった。」といった声に加え、「また開催してほしい」「次回もぜひ参加したい」といった前向きな意見も多く寄せられました。
新入社員主体で企画・開催する勉強会イベントは、社内でもほぼ初めての取り組みとのことでしたが、部署や職種を超えて多くの方に参加いただき、学びの場としてだけでなく、交流の場としても良い機会になったと感じています。
また、企画から開催までを新入社員が実施したことで、技術的な理解だけでなく、参加者に楽しんでもらうための工夫や、分かりやすく伝えることの難しさと大切さを学ぶ機会にもなりました。
まとめと今後の意気込み
企画を立ち上げた当初は、「参加者が集まるのか」「新人主体で運営できるのか」といった不安があり、勉強会の内容や進行方法、当日の段取りなど分からないことも多く、手探りで準備を進めました。しかし「まずはやってみよう」という気持ちで、資料作成や進行内容の検討、参加者への案内などを一つひとつ進めていきました。準備の過程では、説明の粒度や時間配分、どこまで踏み込んで解説すべきかなどに悩み、新人ならではの試行錯誤を重ねました。
今回は、日常業務ではあまり触れる機会のないAWSのゲーム形式で学べるサービスを活用し、参加者が楽しみながら技術に触れられる勉強会を開催しました。実際に「体験的に学べた」「楽しかった」といった声や、「もう一度開催してほしい」「別のテーマでも参加したい」といった前向きな意見も多く寄せられ、準備の苦労が報われたと感じるとともに、開催して良かったと実感しています。
座学だけでなく実際に手を動かしながら学ぶ形式にしたことで、機械学習に対する心理的ハードルが下がり、「難しそう」「とっつきにくい」というイメージを和らげることができたと感じています。一方で、技術を理解することと、それを分かりやすく伝えることは全く別の難しさがあることにも気づかされ、参加者の理解度やバックグラウンドを意識した説明や表現の工夫の重要性を学びました。これらの学びは今後の業務にも活かしていきたいと考えています。
新人の立場でも、自ら手を挙げて挑戦し、周囲の協力を得ながら取り組むことで、学びの場を作り出せることを実感したイベントでした。今後もAWSのゲーム形式で学べるサービスなどを積極的に活用し、参加者が前向きに学べる勉強会を継続して実施していきたいと考えています。







