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LGWANとは?自治体DXの土台となる総合行政ネットワークをやさしく解説

行政のデジタル化が進むいま、「LGWAN(総合行政ネットワーク)」は自治体ITの基盤技術として注目を集めています。 LGWANは全国の自治体が行政業務のために利用する専用ネットワークであり、セキュリティの高さと効率的な情報連携が大きな特徴です。 本記事では、LGWANの仕組みや必要性、ガバメントクラウドとの関係、そしてこれからの自治体IT化における役割について、初めての方にも分かりやすく解説します。

 

 

LGWAN(総合行政ネットワーク)とは

総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)(以下「LGWAN」という。)は、日本全国の地方自治体が行政業務のために利用する、専用の閉域ネットワークです。 一般的なインターネットとは異なり、自治体専用のネットワーク基盤であり、高度なセキュリティのもとで行政情報をやり取りすることができます。

運営は地方公共団体情報システム機構(通称:J-LIS/ジェーリス)という組織が行なっており、役所間での情報共有、電子申請、行政システムの利用など、住民サービスの効率化に不可欠な基盤です。

参考資料:LGWAN 総合行政ネットワーク パンフレット|J-LIS 地方公共団体情報システム機構

  

 

なぜLGWANが必要なのか?

自治体の行政業務は、個人情報や税関連情報などの非常に重要なデータを取り扱っています。 このようなデータが漏洩した場合、住民の信頼が大きく損なわれるだけでなく、情報漏洩などの実被害も発生してしまいます。 一般の公衆ネットワークを使用した場合、不特定多数がアクセス可能な環境になるため、悪意のある攻撃や情報漏洩のリスクが高くなります。

そのため、自治体が安全に通信・情報交換を行うためには、公衆ネットワークとは切り離された「閉鎖ネットワーク」であるLGWANが必要なのです。

参考資料:LGWAN 総合行政ネットワーク パンフレット|J-LIS 地方公共団体情報システム機構

 

LGWANの特徴とメリット

LGWANには、次のような特徴があります。

  • 閉域ネットワーク

 LGWANは自治体専用の閉じたネットワーク(閉域)で、インターネットからは直接アクセスできません。

 しかし、以下のネットワークとは相互に接続することができます

 【接続可能なネットワーク】

 ・ 各自治体の組織内ネットワーク(庁内LAN)

 ・ 国の府省間ネットワーク(政府共通ネットワーク)

これにより、以下のようなメリットがあります。

  • セキュリティの確保

高度なセキュリティ対策が施されており、ウイルスや不正アクセスによるリスクを大幅に軽減できます。

  • 効率的な行政サービス

全国の自治体職員が同じネットワーク上で行政サービスを行えるため、事務の効率化はもちろん、個々にシステム投資をする重複投資を抑制することができ、既存の設備おりようすることもできるため維持・運営費用の削減につながります。

  • 住民サービスの向上

業務システムや行政サービス(例:電子メール、電子申請など)をLGWAN経由で共同提供することが可能です。

参考資料:LGWAN(総合行政ネットワーク)とは?概要をわかりやすく解説|サービス|法人のお客さま|NTT東日本

LGWANとガバメントクラウド

最近の自治体IT化では「ガバメントクラウド」という言葉も話題です。 ガバメントクラウドは国・自治体が共用するクラウドサービス基盤で、現段階ではマイナンバー利用事務系をクラウド上に移行する取り組みが進められています。 セキュリティの確保やコスト効率化を図る目的があります。

このガバメントクラウドとLGWANは以下の関連性があります。

  1. ガバメントクラウドへの接続回線としてLGWANを利用する
  2.  LGWANの業務システムをガバメントクラウド上に構築する

実際、多くの自治体では、独自回線でのクラウドへの接続と、LGWANを介してのクラウドサービスへの接続という2つの方式が取れるようになっており、LGWAN経由なら既存の安全なネットワークを活かして便利にガバメントクラウドへアクセスできます。

ただし、クラウド接続に際してはLGWANのネットワーク機器・セキュリティ強化・SD-WAN等も求められており、柔軟な仕組み(βベータモデル・αアルファモデル)への移行も進んでいます。

参考資料:LGWAN-ASPの目|J-LIS 地方公共団体情報システム機構

LGWAN ASPサービスとは

関連用語として、LGWAN-ASPとは、J-LIS等が提供するアプリケーションサービスプロバイダ(ASP)型の業務サービスです。 自治体ごとに個別開発せず、共通のLGWANネットワークを介し、必要な業務システム(住民情報管理、電子申請など)を利用できる形です。

各ベンダーがLGWAN-ASPという形でサービスをホスティングし、多くの自治体が同じ基盤を安全に活用しています。

参考資料:LGWAN-ASPの目|J-LIS 地方公共団体情報システム機構

今後の自治体IT化とLGWANの展望

今後の自治体では、安全性と利便性を両立しつつ、よりクラウドを活用した行政サービスが進みます。 LGWANは「行政デジタル改革」の根幹となるインフラであり、その上にガバメントクラウド、共同利用サービス、セキュアな業務運用がどんどん加速していきます。 併せて三層分離をベースとしながら、新しいセキュリティモデルや利便性の高いクラウド利用(αモデル、βモデル等)も各自治体で導入が進んでいます。

参考資料:いまさら聞けない!「三層分離」の現状と課題、セキュリティと業務効率を両立できるモデルとは|ジチタイワークス

おわりに

LGWAN(総合行政ネットワーク)は、日本全国の自治体が安全かつ効率的に行政サービスを提供するために欠かせない基盤です。 近年ではガバメントクラウドの普及や、基幹システムの標準化など、自治体ITの大きな変化にも柔軟に対応するため、LGWANの役割や技術も進化しています。 今後は、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)がますます進展し、「いつでも、どこでも、誰もが安心して行政サービスを受けられる社会」を支える基盤として、LGWANの重要性はさらに高まっていくでしょう。

本記事が、LGWANの基本や意義、今後の展望を理解する手助けになれば幸いです。 今後も注目すべき自治体情報システムや最新動向について、引き続き分かりやすく紹介していきます。

弊社としては、LGWANを利用したガバメントクラウド接続のご支援、システムのガバメントクラウド移行のご支援の双方に支援実績を持っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


 

 

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