経年での利用を加味したダウンサイジングにより
高止まりした利用料金を対前年比で約44%削減

 

世界最大の食品飲料会社ネスレの日本法人であるネスレ日本株式会社。

日本国内の消費者向けECサイト「ネスレ通販」のITインフラをAWSにリホストしたものの、高止まりした利用料金の最適化に難しさを感じた同社は、JTPにAWSのコスト削減を依頼。ローデータ(Raw Data)の詳細な分析により、AWS Cost Explorerの標準レポートだけでは難しかったコスト・ドライバーを可視化。ステージング環境における経年での利用を加味したダウンサイジングの実施により前年比で約44%のコスト削減を達成しました。

 

ネスレ日本株式会社

本社所在地
神戸市中央区御幸通7-1-15 ネスレハウス

事業内容
飲料、食料品、菓子、ペットフード等の製造・販売Webサイト

「JTPの分析と提案により、AWS Cost Explorerが提供できる以上の、目に見えにくいコスト要因を特定することができました」

ルイス フレイテス 氏

ネスレ日本株式会社
Eコマース本部 ECデジタルシステム & オペレーション部
マネージャー

課題

導入効果

高止まりしたクラウド利用料金の削減をしたい

標準のツールでコスト・ドライバーを可視化できない

詳細な分析でコストドライバーを把握

ダウンサイジングによるコスト削減

▮ クラウド移行後に直面したコスト管理の難しさ

2,000以上のブランドを世界186カ国で展開する世界最大の食品飲料会社ネスレの日本法人であるネスレ日本株式会社。「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていく」をパーパスとして定める同社は、食品、飲料、栄養健康製品、ペットケア製品や付加価値の高いサービスを通して、顧客や社会の問題解決に取り組んでいます。近年、デジタル領域のビジネスが大きく成長し、柔軟かつ迅速な対応が求められる中、日本国内のコンシューマー向けECサイト「ネスレ通販」のITインフラを、それまでグローバルで統一して運用していたオンプレミス環境から、日本独自の環境としてAWS東京リージョンにリホストするクラウド移行プロジェクトを2018年に実施。2019年4月からは、移行した環境向けの運用代行にJTPの「クラウド運用サービスKyrios」を採用、社内リソースの最適化やTCO削減に合わせて、DevOps導入やクラウド最適化に向けた取り組みなどを強化してきました。

ところが、実際にクラウドのコスト最適化に取り組んでみると、コスト管理の難しさを痛感することになったと同社のIT全般を担当するEコマース本部ECデジタルシステム&オペレーション部 マネージャーのルイスフレイテス氏は話します。

「AWSなどクラウドに移行した直後は、利用料金が一気に上がってしまう時期があり、そこから次第に安定していくものですが、実際には当初の予想よりも大きく上がってしまい、コスト管理の難しさを実感しました。しっかりコスト管理を行い、安定するように下げていく必要があるのですが、移行に際して、クラウドジャーニーの最初からプロアクティブに取り組んでおくべきでした。もちろん、非常に複雑な領域となりますので、どの業界の組織でも同じ課題に直面しているのではないでしょうか」

▮ AWS Cost Explorer のローデータ分析に基づくダウンサイジングの提案

そうした中、2022年3月、同社はクラウド運用サービス Kyriosの契約更新に合わせてパートナーであるJTPにコスト最適化の提案を正式に依頼。フレイテス氏は、コスト最適化にはパートナーへの適切な情報開示が重要と考え、実際のクラウド利用の請求情報を確認できるAWS Cost Explorerへのアクセス権をJTPに付与しました。こうして、コスト最適化のポイントを特定することに焦点を当てた調査・分析がスタートしました。

しかし、AWS Cost Explorerの画面上で利用可能な標準のレポートには限りがあることや、利用しているサービスの中で実際にどんなインスタンスやアプリケーションが動いているかを元に分析できないこともあり、JTPはAWS Cost Explorerから過去1年分のローデータを取得。システムの構成情報をふまえて詳細な分析を手動で行いました。AWS環境が複数にまたがること、過去の膨大なコストデータ、追加される毎月のデータなどを考慮して、専用の分析フォーマットを用意し分析を効率化しました。こうして、 JTPは、分析結果にもとづき複数のアイディアを検討した上で、2022年4月から6月にかけて、ECサイト「ネスレ通販」のステージング環境における経年での利用を加味したダウンサイジングを提案しました。

「利用量が増えるとAWS Cost Explorerでもアラートを出してはくれるのですが、ダウンサイジングまでは提案してくれません。JTPによる分析結果と提案からは重要なインサイトを得ることができ、感銘を受けました。AWS Cost Explorerだけでは把握できなかったコスト・ドライバーをすぐにクリアにしてくれました。私たちだけで分析していたら、もっと時間がかかっていたと思います。私たちの背景やニーズ、コスト削減の重要性を理解して、迅速にチームを動かしてくれたことに感謝しています」

▮ コスト削減効果の高い取り組みを優先的に実施

 まず、通常の運用業務の一環としてネスレ日本とJTPで実施していたEC2のECSコンテナ化を一旦保留。よりコスト削減効果の高い取り組みを優先するように変更しました。

続いて、収集しているボリュームと毎月の増加量をふまえ、監視ログの保存先と保存期間の見直しを行いました。CloudWatch監視ログの保存先である、高価なCloudWatch Logsへの保存期間を3 ヶ月に短縮。以降は、Amazon S3の低料金帯のストレージに保存する仕組みに変更しました。

次に実施したのが、Container Insightsの導入によるスペックの最適化です。ECSで稼働するコンテナに対して、Container Insights機能を有効化することで、コンテナのパフォーマンス(CPU、メモリ、ネットワーク)を分析。その結果、ECSのスペックを半分にできることが判明し、すぐに対応しました。

その後、EC2のダウンサイジングを実行。複数のEC2 サーバーインスタンスに対して、過去のパフォーマンス統計情報から、各EC2の適切なスペック(ダウンサイジング)を提案。これに際しては、システム構成を把握したうえで、JTP 内のアプリケーションエンジニアとネスレ日本の両方でレビューを行い、実施しました。

現在進行中の施策が、より低コストの恩恵を受けやすいArmインスタンスへの変更です。64ビット Arm Neoverseコアを使用してAWSがカスタム構築したプロセッサであるAWS Graviton2を搭載したインスタンスへ変更することで、パフォーマンスを落とすことなくコスト削減できることが判っています。

▮ すぐに反映されたダウンサイジングの効果

そして、2022年8月、ダウンサイジングに続いてリザーブドインスタンスへの切り替えを実施。これによりコスト削減のための基本的な取り組みは完了しました。その効果はすぐに反映され、社内の評価も高いと言います。

「ダウンサイジングの効果はすぐに翌月の利用料金に反映されるようになりました。そして、2022年全体を通した利用料金でも対前年比で約44%削減できました。これにより別な新しい施策に投資することができ、今回の取り組みは社内でも高く評価されています。ネスレの基本戦略にもある、規律あるコスト管理による価値の創造を実現できたと言えるでしょう」

今回の取り組みが成功したことで、現在は、本番環境などその他のAWS環境のコスト削減に向けた準備が進んでいます。また、AWSのコスト面での詳細な可視化や分析業務の効率化を目的としたサードパーティ製ツールの導入検討もスタートしています。

最後に、クラウド環境の高額な利用料金の最適化に取り組まれている方に向けて、取り組みの成功にはパートナーとの密接な連携が重要だと話します。

 「AWSのコスト削減では、パートナーとの密接な関わりが重要になります。信頼できるパートナーに必要な情報を開示し、同じゴールを共有することが、成功要因となるでしょう」

JTPでは、長年に渡るクラウドインフラの構築と運用実績を通して育まれたベストプラクティスを集結し、今後もネスレ日本のクラウドジャーニーをサポートしていきます。

本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
この事例に記載された内容は2023年1月現在のものです。


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