画像からコードを生成する!AI駆動開発を取り入れたTerraformコーディングの効率化
インフラストラクチャをコードとして管理するInfrastructure as Code(IaC) の分野では、手動コーディングにおいて時間がかかり、ミスが発生しやすく、専門的な知識が求められるなど、多くの課題が存在し、効率的なコーディングが難しいのが現状です。しかし、生成AIを活用することで、画像からコードを迅速に生成し、作業時間を大幅に短縮できる可能性があります。この記事では、生成AIの活用方法やプロンプトエンジニアリングの重要性、さらにその利点と課題についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.IaCのコーディングにおける課題
- 2.AI駆動開発 ー生成AIをコーディングに活用するー
- 3.AIを使用することの利点と課題
- 4.実際の使用例
- 5.今後の可能性
- 6.おわりに
- 6.1.関連サービス・参考記事
IaCのコーディングにおける課題
インフラを構築する際に、TerraformなどのInfrastructure as Code(IaC)ツールを使う企業も増えて、インフラ構築におけるワークフローが大幅に最適化されてきた一方で、 手動でコーディングをする際には、いくつかの課題があります。
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時間がかかる
手動でのコーディングは非常に時間がかかります。アーキテクチャ図を理解し、それをコードに変換するには多くの労力を要します。
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ミスが発生しやすい
また、コーディングに当たっては、多くのエラーが発生する可能性があります。これらのエラーは、タイプミスや不正確な設定、さらには意図しないセキュリティギャップなど、さまざまな要因によって引き起こされます。
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専門的知識の必要性
良いインフラストラクチャを開発するためには専門的な知識が必要です。デプロイ可能なコードを書くために多くの知識と経験が求められるのみならず、特にIaC の初心者にとっては、IaCの製品知識など、学ぶことも多岐にわたります。
AI駆動開発 ー生成AIをコーディングに活用するー
生成AIは、訓練された既存データに基づいて新しいコンテンツを生成する技術ですが、生成できるものには、画像、テキスト、音楽などが挙げられますが、その中一つに、コードがあります。Chat GPTやDALL-Eといったモデルを使用し、大規模なデータセットで訓練されることで、人間が作成したような独自の出力を生成することができます。
このように、開発の工程や作業そのものに生成AIを取り入れる方法は、「AI駆動開発」(AI-driven devleopment)と呼ばれています。今回ご紹介する例は、コーティングに生成AIを取り入れる手法ですが、その他にも、設計の工程やテスト・修正など、さまざまな工程で活用が可能なほか、指示をもとにワンストップで開発の工程を担うAIエージェントも台頭してきています。
画像からTerraformコードを生成する仕組み
ここでは、生成AIが画像から、IaCツールであるTerraformコードを生成する方法をご紹介します。このプロセスは主に3つのステップに分けられます。
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画像分析
AIはインフラストラクチャ図を分析し、そこから必要な情報を抽出します。
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リソースの特定
抽出した情報をもとに、使用するリソースを特定します。たとえば、AWSを使用している場合、Route 53やVPC、AWS Lambdaなどのリソースを識別することができます。
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コード生成
最後に、収集した情報をリンクしてコードを生成します。この際、リソース間の関係を考慮し、デプロイ後には図に示されたアーキテクチャを再現することが求められます。
重要なプロンプトエンジニアリングのスキル
ここでは、実際の使用例をご紹介します。特定のアーキテクチャ図を Third AI (生成AIツール) にアップロードし、プロンプトで指示を出し、コードを生成させます。
このプロセスでは、プロンプトエンジニアリングの理解が非常に重要です。プロンプトエンジニアリングとは、「生成AIに出力してほしい回答を出すための適切な指示や命令を出すための技術」で、これにより、AIの能力を最大限に引き出すことができます。
AIを使用することの利点と課題
生成AIを活用することで、多くの利点と一方で課題や限界もあります。
AIを活用することで得られる利点
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大幅な時間短縮
提供されたインフラストラクチャの図がどれほど複雑であっても、数秒でテンプレートを生成できます。これにより、従来の手動プロセスに比べて大幅な時間短縮が実現します。
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一貫性の確保
AIは一貫したコード品質を保証し、基本的に構文エラーのないコードを生成します。これにより、手動でのエラーを減少させることが可能です。
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誰でも使える
AIを活用したコード生成プロセスは非常にシンプルで、専門的な知識がない人でも初期のインフラストラクチャを作成しやすくなります。基本的な理解があれば、非専門家でも容易に取り組むことができるのです。
AIを活用する上での課題
しかし、生成AIを使用してコードを生成する際には考慮しなければならない点もあります。
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複雑なコーディングの対応はできない
特に大規模なアーキテクチャを扱う場合、AIがリソースや接続について混乱することがあります。そのため、品質を確保するためには、人間の介入が常に必要となります。コーディングの整合性を図るために確認することや、また、部分的ごとに切り出して依頼をする、適切なプロンプトで指示を出すといった工夫が必要です。
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セキュリティ上の設定の抜け漏れが発生する可能性がある
AIは重要なIAMポリシーや暗号化設定を見逃す可能性があり、これがセキュリティギャップにつながることがあります。生成されたコーディングの確認を行う際は、セキュリティに関する項目のチェックリストを用意して確実な確認を行うなどの運用を行う必要があります。
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コンテンツは一般的なものに終始する
AIが生成するコードはあくまで一般的なものであることが多いです。自社の環境や特定の製品などを想定した、ビジネスロジックを組み込むためには、プロンプトの工夫や、AIと人の手を手分けして行うなどの対応をすることが考えられます。
実際の使用例
生成AIの実際のユースケースについても考えてみましょう。特に以下のような場面での活用が期待されます。
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プロトタイプ作成
新しいサービス、新しいプロジェクトにおいて迅速なプロトタイプの作成が求められる場合には、大いにAIを活用することができます。
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企業内の環境の最適化
すでに機能しているコードがある場合、最適化に焦点を当てることができます。既存のコードを読み込ませて、部分的な修正を行うなどといった活用方法が考えられます。
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DevOps
繰り返しの手作業や低レベルのタスクをAIに任せることで、人はそのような作業に時間をかける必要が必要がなくなり、より高レベルなタスクや最適化、価値の創出に集中することができます。
今後の可能性
今後の展望として、生成AIがさらに進化し、Terraformコード生成においても新たな可能性が広がることが期待されます。具体的には以下のような点が挙げられます。
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クラウドとの統合
Terraform Cloudや他のクラウドプロバイダーとの直接接続が可能になることで、よりスムーズな運用が実現するでしょう。
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自己修正コード
生成されたコードが自己修正できるようになり、現在必要な人間の手が徐々に減少することが期待されます。
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予測的IaC
AIがコスト削減や最適化に関する提案を行うことができ、より効率的なインフラストラクチャ管理が可能になるでしょう。
おわりに
生成AIは図からコードを生成する力を持ち、特に迅速なプロトタイピングにおいてその真価を発揮します。しかし、コードの品質を維持するためには手動での介入が依然として必要です。そのため、Amazon Qやその他のAIツールを活用する際には、詳細で明確なプロンプトを作成することが極めて重要です。プロンプトエンジニアリングは生成AIの能力を最大限に引き出すための鍵であり、具体的で的確な指示を与えることでAIが意図した結果をより正確に生成できるようになります。ぜひ、今回の記事の内容を参考にして、生成AIを積極的にコーディングに取り入れてみましょう!