地域医療連携サービスのITインフラの
クラウド移行においてPoCから仕様策定・構築、
運用までをワンストップでサポート

 

富士フイルムの日本国内のメディカル事業を担う富士フイルムメディカル株式会社(以降、富士フイルムメディカル)が、 SaaSやパブリッククラウドが登場する以前から長きにわたりインターネット経由で提供してきた「地域医療連携サービス C@RNA Connect」。

近年、ハードウェアの老朽化、運用リソースの不足、運用時に発生する各種作業のコスト負担が課題となっており、パブリッククラウドへの移行を検討。移行作業に確保できたスケジュールが短い中、JTPの「クラウドトータルサービス Kyrios」により、パブリッククラウドのメリットを活用した柔軟なITインフラを実現し、初期費用と月額の運用費の両方でコスト削減を達成しました。

 

富士フイルムメディカル株式会社

本社所在地
東京都港区西麻布2-26-30 富士フイルム西麻布ビル

事業内容
医療用情報ネットワークシステムや医療用診断システムなどの日本国内への販売と技術サービスの提供

原 昌司 氏

富士フイルムメディカル株式会社
ITソリューション事業部
開発部 部長

帆足 洋司 氏

富士フイルムメディカル株式会社
ITソリューション事業部
開発部 SP グループマネージャー

「新しいことにチャレンジする時は、パートナーの存在が重要です。信頼できるパートナーさんがいるかどうかでプロジェクトの結果が大きく変わるので、パートナー選びが大事です。今回、短納期の条件が厳しいプロジェクトでしたが、JTPはしっかり対応してくれました。」

課題

導入効果

ITインフラの老朽化とハードウェアのリプレースのコスト負担

運用コストの負担増

移行先のクラウドサービス活用のノウハウ不足

限られた期間での移行作業

ハードウェアのリプレースよりも安価なクラウド移行の実現

運用コストの大幅削減

パブリッククラウドのメリットを活用した柔軟なITインフラの実現

事前に定められた期間で移行作業を完了

▮ ITインフラの運用コストの負担、パブリッククラウドへの移行を検討

富士フイルムの日本国内のメディカル事業を担う富士フイルムメディカル。デジタルX線画像診断システム、医療ITソリューション関連システム、内視鏡システム、超音波画像診断装置、臨床科学分析・感染症検査装置など事業の対象領域を広げており、富士フイルムの優れた画像処理技術やAI技術を活用した製品の販売や導入を通して医療機関の業務改善に貢献しています。特に、医療ITソリューションの領域では、製品やソリューションの販売や導入支援だけでなく、社内に開発部門を有しており自社開発の製品やサービスの提供も行っています。その他、医療連携ソリューションの提供を通して、地域間医療の課題解決にも取り組んでいます。

富士フイルムメディカルは、この医療連携の分野において、SaaSやパブリッククラウドが登場する以前から長きにわたりインターネット経由で「地域医療連携サービス C@RNA Connect(以降、C@RNA)」を提供しています。 C@RNAは、診療所と地域中核病院をオンラインで繋ぎ、検査の予約・実施、読影結果の報告・閲覧などを円滑化します。患者様の負担や医療機関の業務負担を軽減し、より高度で専門性の高い地域医療を支援するWebサービスです。

「私たちは大規模な医療機関に大きなシステムを導入して保守含めてまとめてお任せいただくというのを得意としていますが、地域の中核病院と診療所を結びつけるC@RNAのようなサービスを日本全国に広げて地域に根を張りたいと考えています。C@RNAを使いこなしているクリニックさんでは、C@RNAを通して大病院での検査と撮影の予約を入れ、撮影後にはデータをオンラインでダウンロードして活用されています。」 

当初は実証実験のような形でサービス提供がスタートしたC@RNAのITインフラは、データセンターでハウジングした物理構成から始まり、近年は仮想化環境で運用されていました。しかし、ハードウェアの老朽化によるリプレース、運用リソースの不足、運用時に発生する各種作業が大きなコスト負担になっていました。

「C@RNAのシステムはそこまで大きくはないですが、やはりシステムを安定的に動かす上で監視や運用の仕組みを一通り作り上げていく必要があります。システムの規模が大きければ仕組みをITインフラ全体で共通化することでコスト負担を全体で吸収できますが、システムの規模がそこまで大きくないと、コスト負担は大きくなってしまいます。また、運用に割ける人的リソースが限られており、例えば、ハードディスクが故障した際の修理や交換、新しいファームウェアがリリースされた場合の適用の判断と実際の適用などの作業も大きな負担となっていました。」(帆足氏)

これらITインフラと運用の課題を解決すべく、富士フイルムメディカルはC@RNAのITインフラのパブリッククラウドへの移行を本格的に検討するようになりました。

▮ 短い移行作業期間とパブリッククラウド活用のノウハウ不足

そして、ITインフラの運用を含めた全体的なコスト削減を第一の目標としてC@RNAのパブリッククラウドへの移行プロジェクトはスタートします。既存の環境の老朽化したハードウェアをすべてリプレースするよりも安価な初期費用の実現、日々の運用コストの削減、運用リソースの最適化などが具体的な指標となりました。しかし、リリース日が先に決まっていたことから、移行作業期間にはPoC、仕様策定、移行後の運用設計を含め約9 ヶ月しか確保できないことが判り、すぐにプロジェクトを始める必要がありました。また、移行先のパブリッククラウド活用のノウハウが社内にほとんどなく、具体的な仕様が見えていなかったと言います。

「移行期間が短かったこともあり、基本的な方針としてはアプリケーション部分には一切手を入れず、移行先の環境をIaaSとして構築し、既存のアプリケーションをそのままインストールすることで全体を作り替えようと考えました。そして、今まで手動で実施していた作業は、なるべくクラウドサービスの標準的な機能を使って自動化を実現し運用負担を減らす方針としました。しかし、移行先のパブリッククラウドの提供サービスに対するノウハウがほとんどなかったことから、仕様書もざっくりとしか書けない状態でした。また、やりたいことは書き出したものの、実際にどのような方法で実現できるか判らず、不安を抱えたまま走らなければならかったことが大変でした」 

▮ PoCから詳細設計、構築、運用までワンストップのサービスを提供

こうして移行プロジェクトは、2021年の4月に、同年の12月末の切り替えをゴールとしてスタートしました。JTPは利用するパブリッククラウドのベストプラクティスとフレームワークにもとづく設計・構築によって信頼性の高いITインフラを実現する「クラウドトータルサービス Kyrios」により、PoCから詳細設計、構築、運用までワンストトップのサービスを提供しました。

「使ったことのないクラウドサービスでしたが、詳細な仕様など判らなかったところはJTP側から積極的に提案いただき、かなり助かりました。こちらのやりたいことに対して、具体的に実現する方法を調べていただき詳細設計に落とし込んでいただきました。アカウントの権限の強化やサーバー OSのアップデートの自動化など、今まで手動でやっていた作業はパブリッククラウドの機能を使って実現しました。その他は、実際に作業を実施しつつ決めながら進めていく感じでした。全体としてはスケジュールを最優先していたので最小限でのリリースとなりましたが、最初にやりたかったことは概ね実現できました」(帆足氏)

「パブリッククラウド側のメンテナンスに起因してアプリケーションに問題が発生する可能性があることが判り、アプリケーションのソース変更をしたため、リリースを3 ヶ月後ろに倒すことになりました。これによりリリース後の運用の準備の時間をしっかり確保することができました。運用に関するドキュメントは、JTPに準備いただきましたので私たちはチェックするだけでした。今回は、既存の手順書をお渡しして、それをベースに進めていただいたことで、それほど時間がかからず準備できたと思います」(帆足氏)

▮ 初期費用と月額の運用費の両方でコスト削減を実現

現在、パブリッククラウド上の新しいITインフラで稼働するC@RNAですが、当初の目標であったコスト削減についても初期費用と月額の運用の両方で達成することができました。

「今回の移行後の費用対効果をざっくりと試算してみたところ、初期費用で1/3、運用に関して月額で2/3くらいまでコストを削減できたことが判りました。今までずっと使っていたオンプレミスのデータセンターは機器がかなり老朽化しておりリプレースが必要でした。そのため、機器をリプレースした場合の概算と比較すると、初期費用は、1/3くらいで済んでおり、予想以上に安価にできました。月額の運用コストについては、今までオンプレミスだったことから元の費用には機器のリース費と運用費の両方が含まれていたのですが、今回はクラウドに移行することで主にリース費のところを削減できました。運用については、JTPにお任せしている人が動くところは、以前よりも安くなっています。月額の運用費に関しては、これから最適化してもっと抑えていきたいと思います。」

その一方で、短納期のプロジェクトだったことから改善点もあり、今後もさらなるクラウド最適化を推進する方向性です。

「C@RNAに限って言うと、今回はIaaSとして構築した環境に既存のアプリケーションをインストールしただけですので、決して今どきのITインフラとは言えません。今後は、コンテナやマネージドサービスの活用により、もっとクラウド的な構成にしていきたいと考えています。また、現状使えていない機能を使うことで、より高精度な監視を実現するとか、運用面で自動化を推進するとか、効率性や精度の向上にも取り組んでいきたいと考えています」(帆足氏)

そして最後に、パブリッククラウドの活用を検討されている方向けにはパートナーの存在が重要だと話します。

「新しいことにチャレンジする時は、パートナーの存在が重要です。信頼できるパートナーさんがいるかどうかでプロジェクトの結果が大きく変わるので、パートナー選びが大事です。今回、短納期の条件が厳しいプロジェクトでしたが、JTPはしっかり対応してくれました。これからも一緒に進めていていきたいと考えています」(帆足氏)

JTPでは、長年に渡るクラウドインフラの構築と運用実績を通して育まれたベストプラクティスを集結し、今後も富士フイルムメディカルのビジネスをサポートしていきます。

本文中に記載されている会社名及び商品名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
この事例に記載された内容は2022年6月現在のものです。


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