データエンジニアリングに入門するために ~必要な技術要素とラーニングパス~
データエンジニアリングは、現代のデジタル社会において重要な役割を果たしています。特に、企業が大量のデータを効果的に活用するためには、適切なシステム設計とデータ処理が不可欠です。本記事では、データエンジニアリングの基本的な概念と、必要なスキルセット、さらには学習ロードマップについて解説します。
データエンジニアリングとは?
データエンジニアリングとは、大規模なデータを収集、抽出、保存、分析するためのシステムを設計・構築するプロセスです。企業や組織が持つ多様なデータを整理し、ビジネスに活用できる形にするためのパイプラインを作成します。このデータパイプラインは、データの収集から保存、分析までの一連の流れを指し、効果的なデータ活用の基盤となります。
データエンジニアリングの主要な領域
データパイプラインを設計・構築するにあたって、次の領域が必要になります。
データ収集
データエンジニアは、さまざまなソースからデータを取得します。これには、ウェブスクレイピングやAPIを通じたデータの取り込み、IoTデバイスから取得したセンサーデータやソーシャルメディアからのストリーミングデータの処理が含まれます。また、収集したデータの品質を管理し、前処理を行うことも重要です。
データストレージ
大量のデータを適切に保存するためには、リレーショナルデータベースやNoSQLデータベース、さらに大規模なものではデータウェアハウスやデータレイクなどのストレージソリューションを使用します。最近では、AWSやGoogle Cloud、Azureなどのクラウドストレージが主流です。
データ処理
データをバッチ処理やリアルタイムで処理することが求められます。データ処理は、データの保存の前に行う場合と、後に行う場合があります。分散処理フレームワーク(HadoopやSpark)を活用し、ETL(抽出、変換、ロード)のプロセスを実行します。これにより、データを効率的に変換・集約し、分析可能な形にします。
データ分析
データエンジニアは、ビジネスインテリジェンスツール(BIツール。Tableau、Power BIなど)を使用してデータを分析・可視化し、機械学習モデルのためのデータ準備も行います。
データエンジニアリングに必要なスキルセット
データエンジニアとして成功するためには、以下のスキルが求められます。
プログラミング言語
- SQL
データベースのクエリや管理に不可欠です(プログラミング言語ではありませんが、便宜上こちらに分類しています)。 - R
オープンソースの統計解析向けプログラミング言語 - Python
データ処理や分析、機械学習に幅広く使用されます。 - Scala/Java
Sparkなどの分散処理フレームワークで使用されます。
データベース管理
- リレーショナルDB
MySQL, PostgreSQL - NoSQL
MongoDB, Cassandra - 分散DB
Google Bigtable, Amazon DynamoDB
クラウドプラットフォーム
- Google Cloud
BigQuery, Dataflow, Pub/Sub ...etc. - AWS
S3, Redshift, EMR ...etc. - Azure
Blob Storage, Synapse Analytics, HDInsight ...etc.
ビッグデータ技術
大量のデータを扱う場合は、ビッグデータ技術も必要になってきます。
Hadoop
大規模データの分散ストレージと処理- Spark
高速な分散処理エンジン - Kafka
リアルタイムストリーミングデータ処理
学習ロードマップ
データエンジニアリングの分野でスキルを磨くためには、学習ロードマップを利用するのが効果的です。
便利なサイト Developer Roadmaps
ここで一つ便利なサイト「Developer Roadmaps」 をご紹介します。このサイトは、データエンジニアに限らず、ITエンジニアに必要な技術スタックや、それを学んでいくために有用なパスが紹介されています。
今回のデータエンジニアリングに関わる分野であれば、データアナリストやデータサイエンティスト向けの学習プランや関連資料を確認することができます。また、無料講座のリンクなどもあり、couseraなどのコースが紹介されています。
この内容を見ると、データアナリストは、身に着けたいExcelの関数や、データ構造などが紹介されています。データサイエンティストは、アカデミック寄りで、数学や統計学がパスに設定されています。
まとめ
データエンジニアリングは、企業がデータを活用してビジネス価値を創出するための重要な技術分野です。主要な領域である、「収集」「保存」「処理」「分析」の流れを押さえておけば、クラウドプラットフォーム上での設計構築や利用するサービス選択の際に役立つと思いますので、ぜひ利用するクラウドプラットフォームに合わせて、チェックをしてみてください。