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ガバメントクラウドを支える4つの事業者の役割とその連携

ガバメントクラウドは、デジタル庁が推進する政府や地方自治体向けのクラウドサービスで、行政のデジタル化と効率化を目指しています。「統合運用管理補助者」「運用管理補助者」「ネットワーク構築運用補助者」「ASP」といった、複数の事業者が運用管理やネットワーク構築など役割を分担し、行政サービスの信頼性向上とコスト削減に貢献しています。本記事では、各事業者の役割について詳しく見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.ガバメントクラウドとは
    1. 1.1.複数の事業者が携わり、それぞれの役割を担う
  2. 2.統合運用管理補助者
    1. 2.1.担当する役割
    2. 2.2.複数のシステムや事業者の全体指揮を執る
  3. 3.運用管理補助者
    1. 3.1.担当する役割
    2. 3.2.各事業者が円滑に動くための、サポートを担当する
  4. 4.ネットワーク構築運用補助者
    1. 4.1.担当する役割
    2. 4.2.ガバクラ特有のネットワーク要件に沿って、構築を担当
  5. 5.ASP(Application Service Provider)
    1. 5.1.担当する役割
    2. 5.2.安定したアプリケーションの稼働を提供する
  6. 6.おわりに
    1. 6.1.ガバメントクラウドのサポートについて

ガバメントクラウドとは

ガバメントクラウドは、デジタル庁が主導し、政府機関や地方自治体が効率的に情報システムを整備・運用するためのクラウドサービスを指します。これにより、国民に対するサービスが向上し、業務の効率化も図られます。このクラウドは、高い安全性とプライバシー保護が求められるため、信頼性の高いプラットフォームを提供することが不可欠です。

ガバメントクラウドの導入により、行政サービスのデジタル化が進められ、データの集中管理や情報の迅速な提供が実現可能となります。さらに、システム間の連携が容易になり、情報の一元管理が進むことで、コストの削減やサービスの向上が期待されます。

複数の事業者が携わり、それぞれの役割を担う

ガバメントクラウドでは、「統合運用管理補助者」「運用管理補助者」「ネットワーク構築運用補助者」「ASP(Application Service Provider)」という役割が存在します。それぞれ、担当すべき責任範囲の業務を遂行し、また各役割が相互に補完し合いながら、組織全体のITインフラの安定運用を支えています。

ここからは、各事業者の役割について、見ていきたいと思います。


    統合運用管理補助者

    統合運用管理補助者は、システムの運用を統合的に管理する役割を担っています。複数のシステムがどのように連携し、効果的に運用されているかを監視し、調整を行います。

    担当する役割

    統合運用管理補助者は、組織内の異なるITシステムの運用を円滑にするために、主に次のような業務を行っています。

    • システム監視:リアルタイムでの運用状況を監視し、問題発生時に即座に対応できる体制を整備します。
    • レポート作成:システムやサービスの運用状況について定期的にレポートを作成し、関係者に情報提供をします。
    • 運用手順の策定:運用を円滑に進めるための標準的な手順書を作成し、関係者へのトレーニングも実施します。

    複数のシステムや事業者の全体指揮を執る

    統合運用管理補助者は、複数のシステムの運用を一元的に管理する役割を果たします。ASPから提供されるアプリケーションの運用状況や、運用管理補助者が監視する具体的なサービスのパフォーマンスデータを集約し、分析を行うことで、全体最適化を図ります。ASPと密接に連携し、それぞれのリソースを有効に活用することで、効率的な業務運営を実現します。

    • 情報の収集と分析:システムのパフォーマンスデータを収集し、分析することで、改善点を見つけます。
    • 運用状況の最適化:収集したデータに基づき、運用手順やプロセスの見直しを行います。
    • 関係者との連携:技術チームとビジネスチームとの橋渡しを行い、効率的な情報の流れを促します。
    • 問題解決:発生した問題に対して効果的な解決策を提供し、再発防止策を講じる責任があります。

    運用管理補助者

    運用管理補助者は、特定のアプリケーションまたはサービスの運用を管理し、サポートする役割です。システムの安定した稼働を確保するために、日常的なメンテナンスや監視が含まれます。

    担当する役割

    運用管理補助者の具体的な役割は以下の通りです。

    • 定期的なメンテナンス:システムの稼働状況を定期的にチェックし、トラブルを事前に防ぐ努力をします。
    • パフォーマンス監視:システムのパフォーマンスを継続して監視し、必要に応じて調整を行います。
    • トラブルシューティング:問題が発生した際の原因調査と対応策の実施が求められます。

    各事業者が円滑に動くための、サポートを担当する

    運用管理補助者は、特定のアプリケーションやサービスの運用を担当しています。ASPが提供するアプリケーションの稼働状況をリアルタイムで監視し、異常が発生した際に迅速に対応する役割を持っています。この点で、運用管理補助者は統合運用管理補助者と連携し、障害情報やパフォーマンスデータを共有することで、問題の早期発見と対策が可能になります。さらに、運用管理補助者はネットワーク構築運用補助者とも連携し、システム全体の通信が円滑であるかを確認する役割も担います。

    そのため、日常的に次のような業務を担当します。

    • システムの状態把握:稼働中のシステムが適切に機能しているかを常に把握し、不具合を早期に発見します。
    • 文書管理:運用に関するマニュアルや手順書の整備・更新を行い、運用チームに配布します。
    • 関係者との連携:問題の共有や解決策を提案するために、他のチームとのコミュニケーションを密にします。
    • 定期報告:運用チームやマネージャーへの定期的な運用報告を行い、透明性を持たせます。


    ネットワーク構築運用補助者

    ネットワーク構築運用補助者は、ネットワーク環境の構築と運用に関わる役割です。この役割は、特に政府機関などの情報通信環境の整備において重要です。

    担当する役割

    ネットワーク構築運用補助者の主な業務は次の通りです。

    • ネットワーク設計と構築:ガバメントクラウドの要件に応じたネットワーク環境の設計を行い、構築します。
    • パフォーマンスの最適化:データの流れを円滑にするために、ネットワークの最適化を図ります。
    • トラブルシューティング:ネットワークに関する問題が発生した際には、迅速に解決策を見出す役割を担います。

    ガバクラ特有のネットワーク要件に沿って、構築を担当

    ネットワーク構築運用補助者は、ネットワーク環境の設計や運用を行います。自治体は、ガバメントクラウド接続のための接続拠点を介し、ガバメントクラウドに接続するなど、細かな要件が定められているため、それに沿った構築は、専門のサービスを提供している事業者が担当することになります。

    また、全体のシステムが適切に機能するために、各種アプリケーションが通信する際の効率性を確保します。運用管理補助者と密接に連携し、システムが正常に運用されるための通信基盤を支えているため、トラブルシューティングの際に迅速に対応することが重要です。

    そのため、ネットワーク構築運用補助者は、以下の責任を担います。

    • ネットワークの監視:ネットワーク環境が正常に稼働しているかをリアルタイムで監視します。
    • セキュリティ対策:サイバー攻撃からの防御策を講じ、ネットワークの安全性を確保します。また、セキュリティポリシーの策定と実施も行います。
    • コミュニケーション管理:異なるシステム間での情報の流れをスムーズにするため、関係者との連携を維持します。
    • 改善提案:ネットワーク環境に関する改善提案を行い、効率的なシステム構築をサポートします。

      ASP(Application Service Provider)

      ASPは、特定のアプリケーションソフトウェアをインターネット経由で供給するサービスを提供している事業者を指します。企業は自社でソフトウェアを保有・運用する必要がなく、必要な機能をそのまま利用できる利点があります。

      担当する役割

      ASPは、アプリケーションを提供することによって、各自治体はITリソースを最適化し、コストを削減する助けとなります。これにより、各団体の優先事項に集中し、業務の生産性向上が期待されます。また、ASPが提供するサービスは常に最新の状態に保たれており、ユーザーは新機能の追加やバージョンアップに煩わされることなく、安全で効率的に業務を進めることができます。

      安定したアプリケーションの稼働を提供する

      ASPは、クラウドサービスとしてアプリケーションを提供する事業者です。ユーザーが必要な機能をインターネット経由で入手することができるため、コストや管理の負担が軽減されます。ASPは、ニーズに応じたソフトウェアの提供を行うだけでなく、運用管理やサポートを通じて他の役割とも連携します。特に、統合運用管理補助者や運用管理補助者との協力が重要で、ASPが提供するアプリケーションの運用状況の監視を担ってもらうことになります。

      ASPの責任範囲は広範にわたります。具体的には以下の通りです。

      • サービスの安定運用:ユーザーのニーズに応じたサービスを提供するため、適切なサーバー環境やアプリケーションの構成が求められます。
      • データのバックアップと保護:ユーザーのデータはASPによって安全に保護される必要があり、定期的なバックアップが実施されます。
      • セキュリティ対策:サイバー攻撃からの防御策や、データ保護のためのさまざまな技術が活用されます。
      • ユーザーサポート:アプリケーションの利用に際して問題が発生した際には、迅速な問題解決支援が求められます。

      おわりに

      ガバメントクラウドは、情報システムの効率的な運用を実現するために重要な枠組みです。その中で、統合運用管理補助者、運用管理補助者、ネットワーク構築運用補助者、ASPといった役割を持つ事業者たちが、協力しながら業務を支え合っています。

      これらの役割は、それぞれ異なる専門性を持ちながらも、相互に協力することでガバメントクラウドの効率的な運用を支えています。ASPが提供するアプリケーション、統合運用管理補助者の全体の調整、運用管理補助者の細かな運用サポート、ネットワーク構築運用補助者の通信基盤の構築が一体となり、円滑なサービス提供を実現しています。この協力関係こそが、政府機関のデジタル化を支える重要な要素となります。

      ガバメントクラウドのサポートについて

      Kyriosでは、主にASPや運用管理補助者をサポートする「ガバクラ支援ソリューション」や、ファイル連携の構築運用支援を行う「ガバクラ支援ソリューション ファイル連携アカウント導入サービス」を提供しています。詳細については、下記のページをご覧いただくか、お気軽にお問合せください。


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